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■アキバ系の40代デザイナー等々力大志の日々雑感です■


by kuromoriko

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■ ものづくりって何だ? 〜GOLDMUNDの真実へのリスペクト〜 ■

今から3年程前ネット上で話題になった事件

http://homepage1.nifty.com/iberia/column_audio_goldmund.htm

スイスの高級オデオメーカー、ゴールドムンド(以下、ムンド)のEDIOS20というユニバーサルプレーヤーの中身がパイオニアのDV600AVのモジュールがそっくりそのまま使われていたという内容です。

ムンドの方はお世辞にもセンスのいいレイアウトとは言えない。
基盤からドライブ、はてはフレキまで使い回し。フレキは無理矢理なレイアウト変更で突っ張っていて僅かなショックでも抜けてしまいそう…とまあ高校生か中学生でもマシな工作をしそうなものだけれど耳を疑ってしまうのはこれが実売140万円の高級品の中身という点。

幸か不幸か、僕は台所用にDV600AVを使っていた事が有って、
(今も持っている)良く知っている、こちらの方は良心的価格の1万円ちょっと。こいつは悪い機械じゃない、むしろ実売1万円で良くここまで性能のいい機械を売っているなあと感心している。

だけども高級ブランドを名乗る会社がやっていい事かというと、やっていいはずが無い。この間騒ぎになったグルーポンのおせち並の暴挙だと思っている。ブランドに価値を求める人は中身が何であれ気にするものではない事も、高額商品のロレックスよりホームセンターのカシオの方が性能で圧倒している事ももちろん知っていて、僕の認識がアマチャンなことも承知しているのだけれど、心の中で無理矢理ねじ伏せて悶々とした日々を過ごし気がつけば3年近く経ってしまった。

ここで本題、今日会社で最近マスコミにも露出の多いプロダクトデザイナー、甘木さんという方の講演会がありました。
またとない機会なので聴講し、ついで質疑応答の時に上記の事で悩んでいる旨を打ち明けた次第。

僕「…とまあ、かくかくしかじかで、ムーヴ、いやムンドの連中は物づくりをする立場として超えてはいけない一線を越えていると思うが、あなたならどう思いますか?またどのように噛み砕いて納得しますか?」

甘木さん「ちょうどここに資料のファイルが有ります、比較写真です。片や400万円のミニ、片や100万円のヴィッツです。ブランド力ではミニの方に軍配があがりますが性能ではヴィッツの圧勝です、内情を知っている立場から言わせてもらえばミニなんてボロに乗る気は更々ない。」

「じゃあなんでミニが飛ぶ様に売れているか?日本は技術を作る事は一流だがブランド価値を作り出す事がヘタなんです。ミニをはじめ欧米のブランドはブランド力を全面に押し出してセールスを行う事にかけては一流なんです。それが如実に現れているのが君が話してくれた事例です。」

「だから、ちゃんとブランド価値を提供し、なおかつそこから出てくる音で顧客を魅了する事が出来ればそれは悪い事でも何でも無いんです。」

僕「ありがとうございます。」

甘木さん「でも…1万円のメカで140万の売価は流石にやり過ぎだね。」

ああ…世界の名だたる金持ちを相手にしている甘木さんも「いくらなんでもやり過ぎ」だって思うんだなあ…

こういう泥くさいコメントは気取った会話の中からは絶対に導き出せないだろう、こんな貴重なコメントを聴けただけでも今日は良い勉強になった。

人が琴線に触れた物に価値を見いだせば何を買っても良い、高額な対価を払ってでもそれを手に入れたいのであれば、それはそれでアリなのだと思う。

だから僕の隣にそれがどうしても欲しいという人が居るのであれば僕にはそれを止める権利なんて無いし、止める気も更々無い。でも、もし家族の誰かが大変な時にオーディオだ何だと趣味にウツツを抜かしているとしたら、その事は果たして良い事なのかどうか?考えてみて欲しい。

もし、リストラと家のローンと子供の高校進学の学費の捻出とその他諸々の出費で首が回らない状態だというのにオーディオとか趣味とかにウツツを抜かしているとしたら、果たしてそれは良い事なのだろうか?

僕がもし、この様な状況で二者択一の選択を迫られたとしたら…
「僕はオーディオなんていらない、趣味なんてクソくらえだ!」

語気を荒げてしまって申し訳ない、中学以来の古い友人に似た様な状況にも関わらず掘り出し物の高級品が云々と言っている奴が居たので…だから僕は消耗品にカテゴライズされる物には必要以上にお金はかけないようにしています。
by kuromoriko | 2011-05-31 23:35 | オーディオ